こんにちは。幸運を呼ぶ曼荼羅アート@divinemandaraartsの岩本幸子(イワモトユキコ)です。
今回は、先日完成した曼荼羅アート「感謝」の描き方メイキングをご紹介します。
今回の曼荼羅アートで特に注意したことは、美しい統一感を出すために、色を銀色と白のバリエーションだけを使用して、アクセントに青一色だけを使うことです。
そのおかげで、とてもきれいな光を放つ曼荼羅アートが完成いたしました。
実は、たくさんの色を使うと簡単に絵に深みを出しやすいのです。また、色の選択を間違ったときに強い色を重ね塗りをすることで修正することもできます。
しかしながら、今回は色を数色に抑えているため、そういったごまかしがきかなくて、途中、結構、行き詰ったこともありました。
そんな裏話もあって、結構苦労して完成した曼荼羅アート「感謝」の描き方メイキングをご紹介しますね。
曼荼羅アート「感謝」
細密ペン画曼荼羅アート「感謝」の作画工程
作画に使用したもの
今回の作画に使用したものをご紹介します。
- 15cm X 15 cm 黒画用紙 1枚
- 鉛筆、消しゴム、定規、コンパス、分度器
- 色ゲルインク・ボールペン
作画工程
まず瞑想して、タイトルの「感謝」に見合った図案が引けるように祈ります。
黒画用紙に、定規、コンパス、分度器を使って、鉛筆で区切り線を引きます。この区切り線の枠の中に手が描きたいように図形を描いていきます。
この時に大切なのは、「良い絵を描こう」とか「美しい絵を描こう」とかといった我欲を一切手放して描きます。ただ無心に「自分はどんな線を引きたいのか?」「どんな形を描きたいのか?」と自分に問いかけて、出てきた線の通りに図形を描いていく感じです。
あわてずゆっくり、どれだけ時間をかけてもいいので、丁寧に下絵を描いていきます。
15cm X 15cm角の小さな画用紙のスペースですが、下絵だけでも結構時間がかかります。
下絵を描きながら、時々、「これでいいのだろうか?」「同じ図形ばかりだな」「自分ってアイディアがないなぁ」など、否定的な考えが浮かんでくる時がありますが、それを完全にスルーします。その考えは、自滅させるだけで決して良いことがないので、決して捕らわれないようにすることが大切です。
下書きに慣れてくると、だんだん頭の中のうるさい声が静かになってきます。それに比例して、直観的に図形が描けるようになっていきます。その直感を信頼して、どんどん好きな図形を描いていきます。
図形のパターンを繰り返して、作品の空間が密になりすぎたと感じる時には、一旦「・」などのスペースを入れて一呼吸入れるようにします。そうすることで、今までのパターンの流れを一度断ち切って、まったく違った図形を描くことができるようになります。
図案に行き詰った時や頭の中が煮詰まった感じがするときには、私がよくやる手法です。
今回も、「・」を途中に入れて、中心近くの図形と外側の輪郭の部分に近い図形とのパターンの流れを変えてみました。写真からも「・」の後で、図形の流れが変わっているのがわかると思います。
2日がかりで、下書きが完成しました。
全体のリズム感や図形のバランスなどを眺めて、気持ちの中に違和感がなければ下書きが完成です。もし、違和感がある場合は、色を入れる前にその部分を消しゴムで消して鉛筆で描き直します。
また、このくらい細かくなると鉛筆では描けても、色を塗るときにペン先の太さなどで描けない図形も出てくるので、追加修正などは色を塗りながら後々変更していきます。
下書きの途中でいろいろ頭の中に出てきた自己否定感は、この時もこの後も完全にスルーしていきます。
また、この時点では塗る色は決まっていません。下書きが完成したら、一晩くらい置いて、翌朝、何色で塗るか直観的に選んでいきます。
色を塗るときにも、まず瞑想をします。そして、この作品のテーマである「感謝」に見合った色を選べるように祈りを捧げます。
この瞑想の時に、得られた直感から、今回は「銀」とアクセントに「青」を使うことに決めました。また、下書きの図案と相まって、色の塗り方はレース編みのような細かな穴の抜け感を意識していくことにしました。
下書きの図案がかなり細かいので、できるだけ細いペン先のボールペンを選びます。太いので塗ってしまうと、図案がすべてペンの太さでつぶれてしまうからです。
また、塗りのイメージがレース編み風なので、凹凸を意識して、細かい小さな穴がしっかり残るように丁寧に塗っていきます。
アクセントの「青」の色を内側に少し濃く塗ります。シルバーの色だけの曼荼羅アートも美しいのですが、アクセント・カラーをほんの少し置くと、焦点(フォーカル・ポイント)がはっきりします。このアクセントの「青」が、これから始まる曼荼羅アート「感謝」の世界にいざなってくれるようなイメージです。
今回の塗り方の目標はレース編み風なので、二日目では「青」を使わず、シルバーのみで塗っていきました。
そして、下書きの時にできた小さな穴を大切にして、ペン先でつぶれないように丁寧に塗っていきます。
このような細かい図形を塗るときには、まず一番細いペン(例えば、PILOT Juice UP 0.4 シルバーのようなペン先の細いペン)で下書きの鉛筆をなぞります。その上に、半透明か透明のインクのペン(例えば、サクラクレパス ティアラ ダイヤモンドシルバーやシグノ スパークリングシルバーなど)で下線の色をなぞる感じで塗っていきます。
そして、半透明か透明のペンのインクが乾いたら、色の発色の状態を確認しながら更に、2,3回色を重ねながら色を安定させていきます。
色塗りが進んでくると少しづつ作品の雰囲気がはっきりしてきます。意図したとおりに、レース編み風に見えるようになってきました。
作品のちょうど中盤くらいのあたりの色塗りです。
この日は、最初全部をシルバーで塗り進めていたのですが、それだと少し物足りない感じがしたので、ほんの少しだけ途中に「青」のアクセントを縁にさし色しました。このほんの少しのさし色だけで、作品がぐっと華やかな印象を持つようになりました。
このさし色は、縁の部分に点描で数点「青」の色を置いただけです。線で塗りつぶす感じではなく、レース編みをイメージしながら、ほんのわずかに色をにおわす感じくらいにしました。
さし色に使ったペンは、サクラクレパス ティアラ サファイアブルーです。
ここでは、昨日アクセントに「青」をさしたので、今回はまたシルバーのみで色を塗ります。アクセントカラーは、あくまでもアクセントなので、ここぞというときにのみに使う感じです。
だんだん外側に行くにつれ、図形が大きくなっていきます。
図形が大きくなってもレース編み風の塗り方が崩れないように、途中、立体的に色が塗れるペン(サクラクレパス デコレーゼ 白)を使ってわずかに凹凸を出すように塗っていきます。デコレーゼ 白で塗った後に、シルバーの透明か半透明インク(例えば、シグノ スタンダード シルバーやサクラクレパス ティアラ ダイヤモンドシルバー)を重ねることで、統一感を持たせることができます。
中盤戦なので、そろそろ疲れが出てきました。集中力が途切れそうになったら、無理をしないでお休みして、できるだけ体調を整えてから再開するようにします。
この日は、少し大きな花弁上の図形に色を塗るのに大いに悩みました。
シルバーだけを使ってレース編み風に塗っているので、単調になってしまいがちで、少し大きな図形を塗るのにちょっと行き詰ってしまっていました。
前日までのリズムを壊さないようシルバーだけを使って、少し大きな図形をスカスカに隙間が空かないように、また、塗り固めてしまわないようにするにはどうしたらいいのか?結構悩みました。
で、結果として、空いた空間に、シグノ スパークリングシルバーを使って点描で陰影を持たせるという感じの塗り方でした。
写真だとわかりにくいかもしれませんが、完全には空間が色で塗りつくされていない感じで、針の穴がある感じが感じられると嬉しいです。
色塗りもだんだん終盤に近付いてきました。
このくらいになってくると、丁寧に塗っているので結構体力を使うので、十分な休息をはさみながら続けます。
今回は、図形の流れを変える「・」の部分を挟んでの色塗りです。作品前半の密度の濃い図形から終盤の図形への流れをつなぐ役割の「・」です。
この部分は、他の白っぽいシルバーの色とは違って、少し暗めのシルバーの色(サクラクレパス ティアラ ダイヤモンドシルバー)を使って、アクセントを出しています。暗めのシルバーで、ちょうど川のようなイメージです。
この「・」をはさんで外側には、「花」のようなモチーフがあります。この花のモチーフはできるだけかわいらしく塗りたいと思います。
昨日に塗った「・」の部分ですが、其のままだと少し空間が目立つ感じがしたので、同じ色のサクラクレパス ティアラ ダイヤモンドシルバーを使って点描で空間を華やかにしました。
また、アクセントカラーの「青」(サクラクレパス ティアラ サファイアブルー)もほんの少しだけ点描でさし色をして空間を華やかにしました。わずかに青がわかるくらいです。
花のモチーフの部分は、一番難しかったです。
点描だとインパクトがないし、かといって色を塗ってしまうと、シルバー一色しか使っていないので、輪郭とか全部が均一となってしまって立体感が出せなくなってしまいます。そのため、シルバーの色味の違うペンで重ね塗りをしながら、立体感を出すようにしていきました。
また、花の先端には「青」をアクセントカラーとして置いたのですが、どうしても色がきれいに乗らずにインパクトが弱い感じです。
昨日のままだと、花のモチーフの部分のアクセント・カラーの発色がいまいちだったので、今回は、発色の良いサクラクレパス デコレーゼ ラメブルーをポイントでおいてみました。きれいに発色しているのがわかります。
このサクラクレパス デコレーゼは、立体的に色が盛れるので、他のペンではにじんでしまうような部分に色を載せることができる優れものです。ただ使い方は難しいので、私はアクセント用にしか使っていませんが。
花のつぼみの回りにも細かいシルバーの点を打つことで、空間のスペースをうまくレース編みくらいのスペースで塗ることができました。
ここまで来ると、あと残るは最後の葉っぱのようなモチーフのみです。頑張りましょう。
最後の葉っぱのモチーフ部分の色塗りです。
このあたりまで来ると、もう完成が見えているので勇み足になってしまいますが、最後まで丁寧に塗っていきたいと思います。
葉っぱの部分は、細いシルバーのペン(PILOT Juice UP 0.4 シルバー)を使って、輪郭をしっかり描きます。そしてその葉脈の間に、点描で、シルバーと青のインクをところどころおいて葉っぱが光るようなイメージでアクセントを置いていきます。
全部を塗りつぶしてしまわずに、葉脈が残るように線を活かす感じです。
葉っぱの外側の最後の縁の部分は、レース編みの雰囲気が出るように、白を下地に使った上に、シルバーの細いペンで色を重ねていきます。
とうとう最後の外周部分にたどり着きました。
ここまでとても長かったですが、頑張りました。
外周の「・」が、どこか離れすぎている感じがしていたので、うまく葉っぱの部分と左右のつながりが取れるように、点描で、小さな点を打ってリズム感を出しました。
外側にある縁の部分には白を下地にしてシルバーの色で色を重ねているのですが、更にその上に点描でシルバーの点を打ちました。ちょっと写真だとわかりにくいかもしれませんが、よく見ると白の中に銀の点が描かれています。
全部の色を塗った後、一晩か二晩くらい置いて、色を落ち着かせてみます。
色を塗った直後だと発色が良くても時間が経つと色が抜ける個所があるので、寝かせることでその点をチェックします。
全体の配色のバランスを少し引いてみて、違和感がないようなら完成になります。
曼荼羅アート「感謝」、完成です。
下書きの時から丁寧に線を引き、色を塗ってきただけあって、とても丁寧な美しさが感じられる作品になった気がしています。
ほんとうはもっと早く仕上がる作品を描こうと思っていたのですが、一つ一つの色や線や形に、丁寧に向き合って、自分の気持ちが納得できるものを描いていたら、ずいぶんと時間がかかってしまいました。
まとめ
曼荼羅アート「感謝」の描き方のポイントをまとめてみたいと思います。
- 色を銀色を中心にして、青をアクセントカラーでシックにまとめると、洗練された感じで統一されてきれいに見えるようになります。
- いくらでも時間をかけていいので、一本一本の点と線を丁寧に描くことを心がけると必ずきれいな仕上がりになります。
- 下書き~色塗りの各工程で、図形のアイディアや色の塗り方について行き詰ったら、無理に作業を進めるのを止めて、一時休息するのがいいです。十分休めば、また、良いアイディアが浮かんできます。
- 描いている途中で、「自分の絵は下手」「きれいに描けない」などの自己否定感の声が頭の中で響いたら、スルーする。スルーし続けると、いつかその声が聞こえなくなります。そして、だんだん瞑想的になっていきます。瞑想的になると、人生のすべての局面が幸せに感じられるようになります。(それが曼荼羅アートの最も魅力的なことなのですが。)自己否定感は、スルーすることが大切です。
- 下書き~色塗りの各工程で、細かい部分を丁寧に描くことと同時に、全体像も併せて観察することで、アクセント・カラーの置き方が決まってくるようになります。木も見て森も見る感じです。
- 自分らしいオリジナルの曼荼羅アートを描くときには特に、「完璧な絵を描くためにどうすべきか?」と頭で考えるのではなく、むしろ、「自分がこうしたい」「この色をここに置きたい」「この形を描きたい」といった「自分はこうしたい!」といったワクワクする方向で作業を進めることが大切です。「自分はこうしたい!」というワクワク感が、オリジナルの作品への近道でもあります。
- 失敗を恐れないで色を置いていくことも大切です。自分の作品の中の色や形にしっかりと向き合って、いい加減に妥協しないで、丁寧に愛を込めて描くことで、画力も上がってくるようになるし、美しい作品も描けるようになっていきます。
- 時間を見つけて少しずつでもいいので、完成まで丁寧に描いていきましょう。時間をかけて一つ一つ丁寧に作業を進めることで、一つの作品を完成させた頃には、見違えるほど画力が上がってくるようになります。
曼荼羅アート「感謝」の制作過程を振り返って
ここからは私事になりますが、今回も、とても丁寧に描けたのが本当にうれしかったです。この作品をご覧くださって、嬉しい気持ちや幸せな気持ちになって下さったら、本当にうれしいです。
こうして制作過程を振り返ってみて、今回の作品で一番難しかったのは、シルバーだけを使うという制約でした。同色だけで、図形の凹凸を表現するのに、途中とても悩みました。でも、その悩みんだ過程で見つけ出した答えもあったので、良い経験でした。
また、レース編みを意識して色を塗ったのですが、ボールペンのペン先が、どうしても0.4mmより細いものがなく、もっと細い線を引くことができないのにとても物理的な限界を感じていました。今後、新しい画材を試してみようと思いました。
余談ですが、今回の制作過程で、途中座ってばかりで腰痛になってしまいました。そこで、体感を鍛えるのとウォーキングを始めたところ、ずいぶん改善されましたよ。創作活動に必要な健康維持も大切ですよね。
作画過程をこうしてご紹介することで、これから曼荼羅アートを描きたい方の参考になればと思っています。曼荼羅アート、本当に楽しいので、ぜひ挑戦してみてください。
最後までお読みいただきありがとうございました。
やさしい曼荼羅アートの描き方 記事一覧【まとめ】